結婚披露宴を取り扱うホテルや専門式場、ゲストハウス等には、必ずと言っていいほど挙式用のチャペルがあります。パイプオルガンがあり荘厳な雰囲気のヨーロッパに実在するチャペルを模したデザインだったり、現代的で明るい雰囲気の内装や、海を見渡せるようなガラス張り、芝生が気持ち良い屋外だったりと自然の景観を取り入れた個性的なチャペルなど、様々な趣向を凝らされており、若く夢いっぱいに胸を膨らませたカップルは、どのようなチャペルで結婚の誓いを立てようかと探さねばならぬほどです。見学にいらした新郎新婦から、時々、とても難しい質問を受けました。「ここは本当に神様がいるのですか?」というものです。
これはとても日本人的な考え方で、十字架は神道で言うご神体と同じようなものだと捉えてしまっているのです。しかし、キリスト教において、神様は日本の八百万の神々とは全く異なるものです。ですから本当の意味を理解してもらうには文化の根底からご説明しなければならなくなりますが、私はいつもこう返答していました。「お米一粒の中には7人の神様がいる、と聞いたことはありますか?日本では自然の中に神々がいて、私たちはその恩恵に感謝して暮らしていますが、キリスト教の教えではそうではありません。
神様は世界を創造した絶対主で、植物や動物ではありえないという考え方です。だからどんな教会にも象徴である十字架を飾って、祈りをささげるのに用いるのです。」本物の牧師の導きで、本物の教会で挙式をしなければ、本物の誓いにならないのではないかと考えるカップルがおられるのは事実です。しかしそれが宗教の対象である必要はないと、新郎新婦のお互いの心が大切なのだと気づいてもらいたいと私はいつも思っていました。